相続税対策に適していない物件とそのリスクとは?~ハイリターンには理由がある 「利回りの高い物件」~

相続税対策に適していない物件とそのリスクとは?~ハイリターンには理由がある~

特徴を掴んで後悔しない物件選びを

ここまでアパートとワンルームマンションの比較を中心に、物件選びのポイントについて説明してきましたが、触れられなかったポイントもありますのでその点について伝えていきます。

■ハイリターンには理由がある 「利回りの高い物件」

相続税対策において一番重要なポイントは、相続税評価額を下げ相続税の納税額を抑えることです。そのために、生前贈与の活用やローンを組むなど、工夫をして相続税の納税額を少なくすることを考えなければなりません。相続税評価額を下げるのに有利なのが貸家であるため、不動産投資に取り組む人が増えているのですが、貸家が良いからと言って高利回りの物件を選択しようとする人が、最近増えています。しかし、相続税対策において高利回りの物件を選択することが、必ずしも良いことではありません。その点を確認していきましょう。

まず、利回りについて確認します。

利回りとは、不動産投資における収益性の目安の1つで、計算式は、「年間家賃収入÷物件価格=利回り」です。利回りが高い物件は、収益性が高い物件であることは間違いありませんが、同時に、不動産投資のなかでは利回りが上がれば上がるほど、リスクも比例して上がるという特徴があります。これは、売主の立場で考えれば、利回りが高い理由もわかるようになるでしょう。

一般的に中古物件の売買価格は、売主が決定できます。もちろん、取引事例や収益還元法を参考にして価格は決められますが、あくまでも売主が売りたい値段でマーケットに出されるのが通常です。売りに出された物件は、反響の有無によって価格調整され、投資家が求めるキャップレートの水準で最終的に売買が成立するようになります。

ここで、1つの疑問が生まれます。売主は、低い利回りで売却すれば高い値段で売れるのに、なぜ高い利回りで売却するのかということです。例えば、年間家賃収入100 万円の物件を利回り5%の価格に設定すれば、売買価格は2000 万円になります。しかし、年間家賃収入100 万円の物件を利回り10%で売却するとなると、売買価格は1000 万円です。利回り5%で売れれば、2000 万円で売却できるのに、なぜ利回りを10%に設定し、1000 万円の売却価格で売却するのでしょうか。理由は、簡単です。買主は、リスクとリターンの両面を見て、購入する物件を決定します。利回り10%でしか売れない物件は、リスクもそれなりにあるので、それくらいの収益がないとリスクに見合わないため、取引価格はその値段に設定されるということです。逆に、利回り5%で売買される物件には、リスクも少なくその値段を払う価値があるということになります。

近年、収益不動産を購入する際に不動産会社に相談する人もいますが、ポータルサイトを見て購入する物件を決める人も増えてきました。しかし、ポータルサイトには、価格、物件の所在地そして利回りが載っており、利回りが高い物件ほど優秀な物件であると錯覚している人が増えてきたことは、問題視しなければなりません。相続税対策において重要なのは、収益を追求することではなく、相続税の納税額を抑えることです。高利回りの物件を追求するが故に、抱えてしまうデメリットは大きく2つあります。1つ目のデメリットは、購入後に空室が増加した場合や、高額な修繕費がかかることにより収益性を確保できなくなるケース。2つ目のデメリットは、相続税対策を行っているにもかかわらず、収益性が増えてしまい余計に相続税を納付しなければならないケースがあります。

まず始めに、購入後、空室や修繕費に困るケースですが、空室に関しては先ほど伝えましたので、ここでは修繕に関して伝えます。新築物件は別ですが中古物件を購入する場合、修繕費をあらかじめ組み込んでおくことは必須条件です。そして、同じ中古物件でもマンションとアパートでは、大きな違いがあります。マンションの場合、中古物件でも共用部分の修繕費は、前の所有者が支払っていた修繕積立金を引き継ぐことができるため、室内のメンテナンスだけ注意すれば良いので大きな出費はかかりません。しかし、中古のアパートの場合は、共用部分のメンテナンス費用を前の所有者から受け継ぐという仕組みがありません。よって購入後に共用部分の多額のメンテナンス費用がかかる場合があります。そこには、注意が必要です。共用部分のメンテナンス費用は比較的高額になることが多く、数百万円単位の修繕からエレベーターの交換ともなれば1000 万円ぐらいの費用もかかります。あるいは、収益を回収しきる前に、建て替えが必要になるケースもあるでしょう。ここで注意しておきたいことは、そういったメンテナンスが自分の代ではなく、子どもの代に起こり得る可能性もあるということです。

相続税対策と資産運用とでは、目的が大きく異なります。相続税対策ではトラブルなく資産を次の代に引き継ぐことが目的となり、資産運用では収益性を上げることが目的です。そこを履き違えたが故に、困っている子世代も多くいることを忘れないでください。

次に注意すべきポイントは、相続税対策前に比べ収益が出すぎることによって、相続税の納税額が増えている人がいる点です。これは、相続税対策の目的を履き違えているから、起こる問題であると言えます。仮に、利回り10%の物件を相続税対策用の物件として選択した人がいたとします。その人の相続税にかかる税率が、40%だった場合、回収した分の収益は現金に姿を換え、回収した収益の40%を相続税として取られてしまうため、実質の利回りは6%になるのです。これは、利回りが高い物件を所有している人だけの問題ではなく、貸家として収益物件を選んだほとんどの人は、物件を長期間保有することで収益は出てしまいます。

この問題は、収益を得るのが親世代であるから、発生する問題と言えるでしょう。生前贈与をうまく活用し、子世代が収益を得るのであれば、問題回避が可能です。つまり、相続税対策に向いている物件とは、利回りの高い物件ではなく、贈与しやすい物件であると言えます。目的に合わせた物件選びを、ぜひ心掛けてください。

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