【現金を貸家にする】相続税対策にタワーマンションを用いた場合

【現金を貸家にする】相続税対策にタワーマンションを用いた場合

■相続税評価額を重視し過ぎると収益性は失われる

近年、テレビや新聞雑誌などで大きく取り上げられているのが、タワーマンション節税です。
最近では、高層階と低層階における税負担の格差が問題となって固定資産税増税も決まったタワーマンション節税ですが、そもそも「何故、タワーマンションが節税になるのか」ということについて詳しく説明していきます。

 

<例>
・所在地:東京都江東区(築8年弱)
・専有面積:92.14㎡
・敷地面積:15㎡(敷地面積を持ち分割合で割り戻した面積)
・平成28年売買価格:9980 万円
・相場賃料:年額349 万7000 円・月額29万1420 円(㎡単価3000 円プラス管理費1万5000 円で計算)

 

<相続税評価額>
・空室の場合の相続税評価額
①建物評価額:固定資産税評価額:1600 万円
②土地評価額:路線価:52万円×15㎡= 780 万円
③合計評価額:① + ②= 2380 万円(売買価格の23.84%)

・賃貸した場合の相続税評価額
①建物評価額:《貸家の評価》1600 万円×(1-0.3)= 1120 万円
②土地評価額:《貸家建付地》780 万円×(1-0.7×0.3)= 616.2万円
③合計評価額:① + ②= 1736.2万円(売買価格の17.39 %)
という計算になります。

 

タワーマンションのメリットは、売買価格に対して相続税評価額が大幅に圧縮できることです。

一般的に相続税対策では、高い建物が建てば建つほど土地の持ち分は少なくなり、土地にかかる相続税評価額を下げられるようになります。例のような物件を購入すれば、売買価格に対して1/5ほどの相続税評価額になり、相続税対策を進めるに当たり圧倒的に有利です。

ここで「容積率の高い高層マンションは、本当に相続税評価額が下がるのか」について、確認していきましょう。
比較対象は、都心のタワーマンションと郊外の低層マンションです。

都心のタワーマンションは、
・実勢価格:1億円
・建物評価額:1600 万円
・土地評価額:3000 万円
・合計評価額:4600 万円
という評価額になるため、相続税評価額は5400 万円の減額です。

一方、郊外の低層マンションは、
・実勢価格:1600 万円
・建物評価額:500 万円
・土地評価額:1500 万円
・合計評価額:2000 万円
という評価額になるため、相続税評価額は400 万円の増額になってしまいます。

 

同じマンションでも結果に差が出る理由は、土地持ち分の差です。
図の例では、タワーマンションは土地の持ち分が15㎡(平方メートル)であるのに対し、郊外の低層マンションは100㎡(平方メートル)と土地の持ち分に約7倍の差があります。
これにより、相続税対策のつもりが土地の評価は下がるどころか逆に上がってしまい、結果として郊外の低層マンションは相続税評価額が増えてしまいました。

もし、不動産投資で融資を引きやすいのはどちらかと言えば、土地の持ち分が多い郊外マンションに分がありますが、相続税評価額を下げるといった意味で言うと土地の持ち分が少なくなりやすい容積率の高いマンションの方が断然有利と言えます。

さらに、郊外の低層マンションを購入する人は、当然利回りの高さも視野に入っているはずです。
利回りの高い物件を購入すると、さらに収益が加算されトータルの資産が増えてしまうため、相続税を下げるどころではなく相続税をさらに払ってしまうという結果に陥ります。
相続税対策のためにマンションを選択している人のなかにも、相続税評価額が増えるようなマンションを選択している人も増えているのが現状です。

「収益を上げること」と「相続税評価を下げること」を同時に行うことは難しく、どちらか一方に目的を絞らなければ、うまくいかないのです。

もし、両方を可能にしたいのであれば、バランスの取れたやり方を選択する必要があります。

 

■タワーマンション節税にもデメリットがある

そんなメリットばかりありそうな「タワーマンション節税」ですが、デメリットもあります。
それは大きく分けて下記の3つです。

  1. 平成29年度税制改正大綱で、建物の固定資産税の見直しがされること
  2. 価格が高額なため、遺産分割でもめやすいこと
  3. 家賃が高額なため、賃貸がつきづらいこと

 

1.平成29年度税制改正大綱で、建物の固定資産税の見直しがされること

こちらについては、現在、テレビや新聞等のメディアでも盛んに報道されている通りで、タワーマンションの固定資産税は、高層階は増税へ低層階は減税という方向になります。
現在は、同じ床面積ならば固定資産税の税額はどこの階でも同じという不平等さが問題になり、平成30年度から新たに課税される新築マンションが対象とされる税制改正が決定されました。

見直し後は、中間階を基準に1階上がるごとに約0.25%の増税を図る予定です。
逆に中間階を基準に1階下がるごとに約0.25%の減税が実施されるようになります。
タワーマンションのメリットは、相続税対策に有利なことや高層階における景観の良さなどによるプレミア価格がついていることです。しかし、今回の増税で人気に陰りが出ることも考えられます。
人気に陰りが出た場合、プレミア価格が消滅することもあり、資産価値は大幅に減ってしまう可能性もあるでしょう。そうなると売却は困難になり、親世代から子世代に資産をうまく承継できないケースも増えてきます。
本当のお金持ちは、固定資産税の影響があっても購入するでしょうが、増税の影響はタワーマンションの建設に影響することも考えられますので、1つの要因として覚えておいてください。

 

2.価格が高額なため、分割がしづらいこと

こちらに関しては、相続を受ける人数分を購入できる資産のある人は別ですが、相続人が3人いる場合に、いくら節税になるからといってタワーマンション1戸を購入して相続税対策を実施するプランを組んでしまうと、相続を受ける人の間で争族に発展してしまう可能性もあります。
相続人の人数分の物件が用意できない場合、タワーマンション節税は手段として向いていないので、争族にな
らないように避けることが賢明です。

 

3.家賃が高額なため、賃貸がつきづらいこと

これはタワーマンション特有のデメリットです。
今回、例に挙げた物件は約30万円の家賃でしたが、タワーマンションにもグレードがさまざまあり、なかには家賃が100 万円を超える物件もあります。

平成25年の厚生労働省が実施した国民生活基礎調査によれば、年収2000 万円以上の世帯はわずか1%という結果でした。このように、月100 万円を超える家賃が払える人は限られているのです。

節税対策として相続税評価額だけを下げる場合にはメリットかもしれませんが、賃貸や売却のことを考えた場合、限られた人しか買えないもしくは借りられない物件という状況はあまり好ましくありません。

節税のためにタワーマンションを購入したけど、入居者が決まらないといった悩みを抱えている人も多くいます。タワーマンションの賃貸をつけるのに時間がかかるのは、その家賃を払える人の総数が少ないためなのです。

逆に、多くの人が払える家賃設定の物件であれば、入居者はすぐに付くため、収益性が保たれるのです。
もし仮に、タワーマンションを相続税節税のため購入する際に、ローンを組むと相続税評価額が下がるということを真に受けて融資を受けていた場合には、さらに注意しなければなりません。

 

ローンを組んでしまい入居者が確保できなければ、毎月の支払いの全額を支払わなければならなくなり、節税のメリットより支払いのデメリットを感じることでしょう。

また、売却に関しても、注意が必要です。なぜなら、今まで良いと思われていたタワーマンション節税が、法律改正でメリットが少なくなってしまった場合には、購入する人が減少することにより売却が困難になるためです。
賃貸マーケットや売買マーケットは、多くの人が参入できるからこそ取引が活発になり、入居者の確保や短期間での売買が可能です。
もし、相続税対策でタワーマンションを選択する場合には、現金購入を前提とし、家賃が入らなくても問題のない状態にしなければ不安は付きまとうことでしょう。

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