都市 マンション 

2018年分の路線価は全国平均で0.7%上昇したと、国税庁が7月2日に発表しました。
ただし、路線価はあくまで「標準的な宅地」の価格であり、
相続税の計算では個別の事情に応じて減額補正が認められます。
実は税制改正によって18年から一部の中低層マンションの土地にかかる相続税が
事実上、減税になったのです。どういうことなのでしょうか。

▼一部中低層が該当

路線価は道路に面する土地の1平方メートル当たりの価格で、
相続税と贈与税の計算ベースとなります。
路線価はごく標準的な条件の土地を想定したもの。
形がいびつだったり高低差があったりすると資産価値が低いとされ、
路線価による評価を減額できるのです。
相続税の申告書に記載して認められれば節税につながります。

「広すぎる土地」も全面をくまなく有効利用するのは難しいとの理由から
減額が可能ですが、中高層マンションの開発に適するようなケースは
除外するとされてきました。ただしその判別は実務上難しく、
申告したのに税務署に認められず不満を持つ納税者もいました。

国税庁は18年から、広すぎる土地の条件を3つに明確化しました。
土地の「容積率」が低めであれば、形式的にマンションには不向きで
価値が劣ると判定。現にマンションが建っている土地でも
減額を認めるようになりました。

容積率は土地面積に対して最大どのくらいの延べ床面積の建物を建てられるかを示し、
都市計画で地域ごとに指定されています。
新ルールでは400%(東京23区では300%)よりも低ければ減額が認められ、
結果的に中低層のマンションで土地の相続税が実質減税となったのです。

相続案件を専門に手がける税理士法人チェスター(東京・中央)の荒巻善宏税理士は、
「今年に入って発生した相続で実際に減額補正できる案件が出てきている。
地価の高い東京都心の低層マンションなどは減税の恩恵が大きい」と話していました。

▼幹線道路沿い留意

幹線道路沿いなどで容積率の異なる土地にまたがって建っているマンションにも、
路線価から減額できるルールがあります。
道路に面していない奥の方の土地の容積率が低いのに
土地全体をそのままの路線価で計算すると、過大評価になってしまうからです。

例えばマンションが幹線道路に面して間口50メートル、
奥行き24メートルの1200平方メートルの土地に建っており、
容積率は道路から20メートルまでの1000平方メートルが300%、
それより奥の200平方メートルは100%としましょう。
この場合、マンションが路線価図の「普通住宅地区」にあるなら減額率は約1%。
容積率がより地価に影響を与えやすい「普通商業・併用住宅地区」では、
約6%の減額が認められます。

こうした減額補正を知らずに申告しても一般に税務署は指摘してくれないため、
相続税の払いすぎになる心配があります。
いずれ相続するマンション住戸があるなら、路線価からどんな減額ができるのか、
よく確認しておきたいものです。

▼小規模宅地等の特例 適用で相続税ゼロも

土地の評価を路線価から減らすことのできる税制の中で、
最も減額率が大きいのが相続税の「小規模宅地等の特例」です。
亡くなった人が住んでいた自宅の土地を、同居していた親族らが相続した場合に、
その評価額を80%(面積330平方メートルまで)も減らせる仕組みです。

相続税の申告により、この特例を活用すると、相続税がゼロになることも多いです。
一般に相続財産に占める土地の比率は高く、特例活用により財産全体の評価額が、
基礎控除の範囲内におさまりやすくなるためです。

相続税の申告件数は2016年分で13万6891件。
日本経済新聞の情報公開請求に対して国税庁が開示した資料によると、
このうち54%(7万3444件)で、同特例が適用されました。
路線価などで計算した評価に比べて全体で1兆1898億円が減額され、
税負担の軽減につながっています。

同特例の適用によって相続税がゼロとなったのは、
申告件数全体の16%(2万1736件)でした。
とりわけ相続財産に占めるマイホームの割合が大きい都市部の中流層は、
同特例が使えるかどうかで税負担が大きく左右されることでしょう。

 

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