所有者不明土地問題を解消 権利放棄認める方針へ

2月8日、法務省は所有者不明土地問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表しました。
見直しでは、以下の3本の柱が主体となります。

  • 相続登記の義務化
  • 所有権の放棄を認める制度の創設
  • 遺産分割の話し合いができる期間の制限

山下貴司法相が14日の法制審議会総会で諮問し、2020年の臨時国会に改正案を提出する予定です。

山下法相は8日の閣議後の記者会見で「所有者不明土地は民間の土地取引など土地の利用を妨げている。対策は政府全体で取り組むべき重要な課題だ」と述べた。

 

所有者不明土地とは

所有者不明土地とは、不動産登記簿などの所有者台帳で所有者が分からない土地、判明しても所有者と連絡がつかないなどの問題を抱える土地です。

増田寛也元総務相ら民間有識者の研究会による2016年の推計によると、全国で約410万ヘクタールにも上り、2040年には約720万ヘクタールにまで広がるとされています。所有者を探す費用や公共事業の遅れなどの経済損失額は、2016までの累計で約6兆円に達します。

こうした土地が発生する主な要因は相続です。

相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったり、相続人が決まらず放置されたりするために発生する例が多いのです。

 

改正の方針

①権利関係を外部から分かりやすくするため、法務省は相続時の登記を義務化する

相続時の登記の義務化と併せて、未登記には罰金を科すことなどを検討していきます。

現在は相続登記は任意で、登記するかどうかは相続人の判断に委ねられています。名義が死亡者のまま長年放置されれば法定相続人が分からなくなる可能性があり、土地の購入や賃借をしたい人がいても取引することができません。

 

②相続人同士が遺産分割を話し合いで決める期間に制限を設ける

話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申し立てがされずに一定期間が過ぎた場合、法律に従って自動的に権利が決定することを検討しています。期間は3年、5年、10年の複数案が上がっています。

 

③土地の所有権の放棄

例えば「遠方に住む親から土地を相続したが、手入れが難しく手放したい」などのケースでも現在は放棄を認めておらず、所有者不明土地を増やす一因になっています。

今後は放棄を認める方針で、その条件や受け皿となる機関について議論していきます。税逃れや将来放棄するつもりで管理をしないなど、モラルハザードが発生しない仕組みも課題となります。

 

相続人のいない土地の活用

被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにすることも検討されています。

管理人は相続人がいないかどうかを調べ、土地をもらうべき人に分けたり、売却して債務の支払いに充てたりすることができます。

相続人の調査にかかる期間を現行の10カ月から最短3~5カ月に短縮し、選任の費用負担も減らします。全ての土地を調べる現行制度では時間が長くかかり、費用もかさんでいました。管理人を介しやすくし、自治体や企業などへの売却を促します。

 

法務省の対策は新たな不明土地の発生を防ぐ仕組みが中心となるため、抜本的な解決に結びつけられるかは未知数です。

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