評価額の計算式で分かる「貸家」が相続税対策に有利である理由

評価額の計算式で分かる「貸家」が相続税対策に有利である理由

貸家は有利な計算方法が認められている

相続税対策において貸家は、実勢価格や固定資産税額から数十%減額されるため、かなり有利であることは先ほど紹介しました。それでは「なぜ? 貸家は相続税対策において有利なのか」そこから確認していきましょう。

貸家が相続税対策に有利な理由は、土地や建物に関しての権利を有しているのが自分だけではないからです。例えば、人に土地を貸している場合、いくらその土地が自分名義の土地であっても、「すぐに建物を壊して更地に戻して出て行ってくれ」ということはできません。貸家として人に部屋を貸している場合も同様に、所有権があっても入居者に借地権や賃借権などの占有権限があるため、土地所有者の使用に強い制限がかかります。このような土地を貸家建付地(かしやたてつけち)といい、相続税評価において低く評価されるのです(ちなみに、他人に貸していない自分のために使用する土地のことを自用地と言います)。人に貸している土地(借地)は、借地権の分だけ評価額が低くなります。借地権とは、建物の所有を目的として土地を賃借等する権利のことです。

土地所有者は借地権者に対し、突然「出ていけ」ということはできません。土地の所有権は所有者に帰属しますが、借地権者がいる場合、借地権者の権利も保護されることになります。こういった権利上の問題があるために、貸家では相続税対策に有利な計算方法が認められているのです。

相続税の計算上、土地や建物は実勢価格で評価されるわけではなく、相続税評価額と呼ばれる相続税法等によって計算された金額で評価されます。賃貸経営・アパート経営・マンション経営が代表的な節税対策と呼ばれるのは、この計算において有利な計算方法が利用でき、相続税評価額を大きく下げることが可能だからです。

一般的に土地は相続税や贈与税を算出するときの基準になる「路線価」を用いて評価することになり、更地の場合もこの路線価がそのまま相続税評価額となります。

路線価方式の評価額は、「路線価×宅地面積(㎡)=評価額」になり、これが土地の相続税評価額です。そして、建物の評価額の計算式は、「固定資産税評価額×倍率(1・0)=評価額」という計算式になります(43ページ図参照)。

しかし、アパート用の土地のように、貸家の目的とされている宅地については、「貸家建付地」として評価され、さらに評価を下げることができます。貸家建付地の評価方法は、「路線価×宅地面積(㎡)×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」という計算式です(45ページ図参照)。

そして、貸家の建物部分の評価額は、「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」になります。注目して頂きたいのが、「借家権割合」で、左図のように30%(一部地域は40%)になります。このように賃貸用の建物であれば、「貸家」として評価され、自用地評価額からさらに30%評価を下げることが可能です。そして、建物であれば「固定資産税評価額」を用いて計算することになります。固定資産税評価額は概ね建築費の60%程度となることがほとんどです。つまりこれらの理由から、現金を不動産に換えることでかなりの節税となりますので、覚えておいてください。

 

収益を上げられる物件を残すことが大事

このように相続財産を現金で持つより不動産に換えることで評価が下がり、不動産でも自宅用として持つより貸家にした方が、相続税評価額を下げることができます。この章の冒頭でも触れたように、相続税対策を行う人の多くが不動産に向かう理由は、このように相続税評価額を下げることができるからです。しかし、相続税対策に有利だからといって、アパートを建築し空室に悩んでいる人が多くいるのも事実で、これからの時代はただアパートを建てるのではなく、しっかりと収益を見込める立地に建築することも求められています。貸家の建築が過熱気味でさまざまな問題もありますが、貸家が相続税評価額を下げるのに有利なのは間違いありません。どんな立地で貸家を購入するか、収益を確実に得ることができる物件選び、資産を受け継いだ子世代が管理運用に困らな

い物件選びなど、選択する物件を目利きする力をしっかり養うことも重要です。

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