相続関係は最大難関 激変する死後の手続き

相続を学ぶ

面倒なのは「相続の手続き」だが、他にさまざまな重要な手続きがある

週刊東洋経済(東洋経済新報社発行)の2019年4月27日・5月4日合併号で「実家の片付け 激変する相続 死後の手続き」という記事があったので紹介したい。

死後14日までは役所や年金事務所が手続きが先

「死後7日以内」「死後14日以内」というのが最初のポイントとしてあげられる。

役所関係の手続きは一連を葬儀会社など外部に任せることが多い

まず肉親が亡くなったら医師から死亡診断書を受け取り、これと一緒に市区町村役所に死亡届を提出すること。病院であれば臨終に立ち会った医師に書いてもらえるが、在宅で看取った場合は医師に来てもらう必要がある。死亡診断書がないと死亡届は提出できないので、何よりも先に受け取ることだ。また、このときに火葬許可申請書も一緒に提出し、火葬許可証の交付も受けること。それを火葬場に提出して初めて火葬が執り行われ、その流れで埋葬許可証を受け取る。


年金関係を手続きしないとあとで返金を求められる可能性もある

煩雑になるのはここからで、14日以内に役所や年金事務所に出向かないといけない。東氏は「死後の手続きは「役所関係」「年金関係」「その他」と分けて考えるとスムーズに進めやすくなる。そのうち役所と年金関係が14日以内に集中するので、必要書類と一緒に提出すること」と指摘する。とりわけ、個人が受け取っていた年金の受給停止を申請しないで受け取り受け取り続けると、あとから返金を求められるなど、非常に難しいことになる、必ず期限までに済ませることが大事だ。同時に未支給年金を受け取るための手続きもしておきたい。

年金事務所などの手続きには戸籍謄本や除籍謄本が必要

年金の停止と並行して行うのが、健康保険や介護保険の停止だ。それぞれ資格喪失届を役所で提出すればいい。その他自治体から交付されているものもあれば一緒に返却する。そのほか14日以内の手続きとしては世帯主の変更も役所で済ませることができる。旧姓に戻りたいなら復氏届、義父母の扶養義務を負いたくないなら姻族関係終了届も提出すればいい。
なお、このような年金事務所や役所の手続きでは、戸籍謄本や除籍謄本が必要となる。個人の本籍がある役所が発行するが、出生から死亡まですべての戸籍・除籍謄本を取り寄せないといけない。入手に時間がかかるので、できるだけ早く手をつけておきたい。
故人の本籍地が遠方なら郵送で請求できる。現住所を確認するための住民票のほか、名義変更や相続税申告時などには相続人の印鑑登録証明書も必要なので、これらも取得手続きをしておこう。

最大の難関は相続関係

死後3ヵ月以内、4ヵ月以内の期限で迫ってくるのが、相続・名義変更関係、所得税の準確定申告といった手続きである。死後の手続きのヤマ場ともいえる。ここでのポイントは「遺言書の有無」である。相続人の調査・選定など、細かいプロセスを一つひとつ進めていかなければいけないとき、遺言書があると省略できる部分が多い。

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」

遺言書には個人が自筆で書いた遺言書の「自筆証書遺言」と公証人により作成された「公正証書遺言」がある。前者は保管方法が指定されていないので、自宅や貸金庫などを遺族が探すしかない。

遺言書保管法

2020年7月から法務局が自筆遺言書を保管する制度が始まる。( 法務局における遺言書の保管等に関する法律について http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html 遺言書保管法の施行期日は,施行期日を定める政令において令和2年7月10日(金)と定められました。なお,施行前には,法務局に対して遺言書の保管を申請することはできませんので,ご注意ください。)

この制度では、遺言書が法務省令で定められた様式に合っているかチェックしてくれ、原本の保存とともに画像情報を法務局同士で共有する。相続人などからの請求に応じて遺言書の内容や預かっている証明書を提供、相続人のうち誰かが内容を確認するとほかの相続人に通知して、その存在を知らせてくれる。こういう内容だ。
現状だと自筆証書遺言を有効にするには家庭裁判所で検認の手続きを取る必要があるが、法務局預かりなら不要になるので時間の短縮にもつながるだろう。
その次に戸籍謄本を利用した相続人の調査・確定、相続財産の調査を進める。隠し子でも発覚すれば相続人は増えるし、死後に発見される財産も少なくない。プラスの財産に限らず、借金や未払いの税金、保証債務などマイナスの財産があることも。
金融機関の残高は残高証明依頼書、不動産価値は固定資産評価証明申請書の手続きで確定させ、マイナス財産に関しては相続人が信用情報機関に照会すると借金の有無が判明する。これらを基にマイナスが多いなら相続放棄申述書を家庭裁判所に提出して相続を放棄、あるいは限定承認の手続きへ。

確定申告の必要があるなら死後4ヵ月以内に所得税準確定申告を済ませる

相続放棄をしないなら遺産分割協議、各種遺産の名義変更・相続へと手続きは進む。相続人全員が集まり遺産分割協議書を作成、円満に解決しないなら遺産分割調停申立書を家庭裁判所に提出するといったことになる。遺産の名義変更についても預貯金は銀行への相続関係届出書の提出や相続人全員の実印が必須。有価証券、自動車なども必要に応じて手続きを済ませ、必要なら10ヵ月以内に相続税の申告・納付を済ませるといった流れだ。準確定申告と同じ期限をすぎると延滞税が発生する。以降に新たな遺産が見つかると分割協議の仕切り直しや修正申告が生じるので注意したい。相続財産が最低限の取り分(遺留分)に満たない場合、ほかの相続人に請求できる遺留分減殺請求は遺留分が侵害されたと知ってから1年以内が期限となる。

 

その他にすることとして、葬祭費の申請、高額療養費の払い戻しといった手続きや生命保険の保険金請求も忘れないようにしたい。

これらの手続きは遺族自らが行っても構わないが、税や相続関係は専門知識が求められるので、弁護士や行政書士といった専門家のアドバイスやサービスを活用しながら手続きを進めるのが現実的になるだろう。

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