相続税の基礎 自宅の土地 特例使い節税 

相続税の小規模宅地等の特例

相続税の小規模宅地等の特例は、条件を満たせば自宅の土地などを相続する際、一定の面積までなら評価額を減らせる制度です。評価額を下げることが出来れば、支払う相続税も少なくて済みます。自宅など「特定居住用宅地等」なら330平方メートルまでが特例が適用され、評価額を8割まで減らすことができます。経営する賃貸アパートの敷地など「貸付事業用宅地等」でも200平方メートルまで適用され、同じく5割減らせます。

なぜこのような仕組みがあるのかということですが、自宅や事業用の土地は生活の基盤だからです。万一、相続税を払えずにそれらを手放さざるを得なくなると、自宅や収入源を失うことになります。ですから、生活の基盤を受け継ぐ相続人のことを考慮して税の負担を減らすというのがこの特例の本来の趣旨なのです。

特例の適用対象は?

では、どのような人が特例の適用対象になるのでしょうか。

まず、自宅の土地の場合、相続するのが配偶者か同居していた親族が対象です。配偶者も同居親族もいなければ、相続開始前3年以内に自分の持ち家などに住んでいなかった別居する親族にも適用されます。仕事の都合などで賃貸住宅に別居していても、持ち家がなければ、いずれ親の自宅に住む可能性があるからです。このような別居親族のことを「家なき子」と呼ぶことがあります。

「家なき子」の特例の問題

しかし、この「家なき子」の特例の適用が厳しくなりました。この特例は、自宅の評価額を大きく下げられることから、強引に基準を満たして家なき子になろうとする者がいました。2018年4月の改正前の規定では、相続人またはその配偶者の持ち家に住んだことがないことが条件でした。この条件にあてはまらない者の中には、例えば自宅を持つ子ではなくさらにその子ども、つまり孫に遺言書を書いて遺贈し、孫が特例を受ける形にして相続税の負担を逃れる者もいました。そのため、特例の主旨通りに運用するために、改正後は3親等以内の親族などの持ち家に住んでいたことがないことも条件に付け加えられました。このため、親と同じ家に住む孫に遺贈する方法は使えなくなりました。また「相続した家を過去に所有していたことがない」という条件も付いたので、例えば自宅を親に売却して賃料を払って住み続け、親の死後に相続して家なき子の特例を受ける方法もできなくなりました。

小規模宅地等の特例について、ほかに注意しておくべき点も見ておきましょう。

同居親族や家なき子は、相続開始の翌日から10カ月間は自宅を売却できない点です。相続税の申告は相続開始から10カ月以内だから、それまでに売ってしまうと住み続けたことにならないのです。

その他の節税方法は?

また、相続対策で所有する土地に賃貸アパートを建てた場合に、どうして節税になるのでしょうか。土地を他人に貸していると使い勝手が悪いとみなされ、その分評価額を下げられるのです。公示地価などで1億円と評価された土地に木造の賃貸アパートを建てて満室になった場合で計算してみましょう。まず、相続税の土地の評価額は路線価が基準になり、時価の8割程度になります。さらにこの土地にアパートを建てると「貸家建付地」となり、住人が利用している割合を差し引くことができます。

この時は、借地権と借家権を使って計算します。借家権は全国ほとんどが3割で、借地権割合は地域によって異なります。仮に借地権割合が6割として計算すると、借家権の3割と掛けた18%を差し引けて、相続税は1億円から最終的には6560万円まで減らすことができます。

土地の評価額を減らせる以外にメリットはあるのでしょうか?

まず、現預金で相続するよりも、アパートのほうが評価額を減らせる利点があります。例えば、5000万円の現金を元手にアパートを建てたとします。木造建物の場合、固定資産税評価額はおおむね4割減らせて3000万円になります。このアパートが仮に満室なら、借家権の3割を引いた2100万円が評価額になります。現金そのままだと5000万円なので、2900万円も評価額を減らせることになります。

ですから、賃貸アパートを建てたほうが得な気もしますが、少し前までは相続税の節税策として金融機関からお金を借りてアパートを建てる例が相次いでいました。しかし、借入金を返す元手となる賃料収入は将来、減る可能性もあります。相続税の節税効果と比べて、アパート経営の負担が大き過ぎないかどうかなど、総合的に判断することが大事です。

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る