生前贈与で税金の負担を軽減できる?贈与税の非課税枠・計算方法も解説

生前贈与とは、生きている間に子供などに財産を引き継ぐことです。相続税の負担を軽減するにあたって、この生前贈与を検討する人も多いのです。生前贈与で節税するためには、事前に知識を身につけ、計画的に活用しなければなりません。

この記事では、生前贈与について以下の内容について詳しく解説します。ぜひ、自身の節税対策に役立ててください。

  • 贈与税の概要
  • 節税対策になる理由
  • 生前贈与でも贈与税がかからないケース
  • 非課税枠、優遇措置
  • 贈与税の税率と計算方法
  • 相続税との比較

生前贈与・贈与税とは?

生前贈与とは、生きている個人から相続が発生する前に、子供や孫などに財産を渡すことです。財産を渡す人を「贈与者」、財産を受け取る側は「受贈者」と呼ばれます。生前贈与を行うことで、相続税が課せられる財産を減らすことができるため、節税対策の一つとして活用されています。

贈与税は、個人から個人へ金銭などの財産を無償で譲り渡したときに発生する税金です。「基礎控除」の制度によって、一定額までの贈与については、税金が発生しません。

生前贈与で税金(相続税)をおさえられるのはなぜ?

生前贈与で相続税を軽減できるといっても、贈与を受け取れば贈与税が発生します。また、贈与税のほうが相続税より税率が高いのです(詳しくは後述)。それでも、生前贈与を検討する人が多い理由は、贈与税の非課税枠、優遇措置があるからです。それらの制度について、次で詳しく説明します。

生前贈与で税金(贈与税)がかからないのはどんな場合?

ここでは、生前贈与で贈与税が発生しないケースについて解説します。

生活費・教育費の贈与は贈与税の対象にならない(一括贈与を除く)

贈与税は、家族のための生活費・教育費は対象外になります。例えば、下宿している大学生の子供に渡す生活費には贈与税はかかりません。また、親から子供への結婚・出産費用も同様です。

しかし、一括でまとめて贈与する場合は、贈与税の対象になる場合があります。なぜなら、贈与税は一定の金額までは非課税になるものの、その基準額を超えると税金が発生するからです。贈与税の非課税については次で詳しく解説します。

生前贈与で贈与税が一定額まで非課税になるものとは?

ここでは、生前贈与で贈与税が一定額まで非課税となる制度や控除について解説します。

暦年贈与

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間で110万円以下の贈与であれば非課税になる制度です。また、複数人から贈与を受けても、あわせて年間で110万円以下であれば、贈与税は発生しません。

贈与税対策として、年間110万円以下を複数年にわたって贈与もできます。しかし、贈与の方法によっては、一括でまとめて贈与したとみなされ、課税対象になるケースもあるため注意が必要です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子供または孫に対して財産を贈与した際に、最大2500万円まで非課税になる制度です。贈与された財産は、贈与した人が死亡したときに相続財産として加算することになります。子供の住宅購入費など、一時的にまとまったお金を贈与するときに役立ちます。

例えば、8000万円の財産を持っている祖父が、孫に2500万円の贈与をした場合、贈与税は発生しません。しかし、祖父が亡くなった場合、残りの財産である5500万円に、受取済みの2500万円を加算し、相続財産8000万円として相続税を計算します。

夫婦間の贈与(贈与税の配偶者控除)

夫婦間の贈与では、配偶者控除を活用すれば、居住用の不動産または、不動産の購入費の贈与において2000万円まで非課税になります。結婚してから20年以上経つ夫婦で、同じ配偶者からの贈与は1回限りです。

暦年贈与の非課税枠も併用できるため、実質2110万円までが非課税です。実際に贈与する際には、妻から夫、夫から妻のどちらでも問題ありません。また、配偶者控除を受けるには、税務署への申告が必要になるため覚えておきましょう。

住宅取得資金の贈与

親や祖父母(直系尊属)から住宅取得資金を贈与された場合、最大3000万円まで非課税になる特例があります。(2021年までの特例)非課税限度額は、住宅の契約締結日や住宅の種類、消費税率によって異なります。

相続時精算課税制度との併用、暦年贈与との併用も可能です。住宅取得資金の贈与の特例を受けるには、贈与を受ける人が20歳以上で、所得が2000万円以下などの要件を満たす必要があります。

結婚・子育て資金の贈与(一括贈与)

親や祖父母(直系尊属)から結婚・子育て資金の贈与を一括で受けた場合、1000万円までは非課税になります。(※子ども・孫の前年所得が1,000万円以下である必要あり)結婚・子育て資金は、新居への引っ越し費用や挙式費用、子供の保育園や幼稚園の費用などが含まれます。このうち、結婚のための費用は300万円までが非課税です。

結婚・子育て資金の贈与を受けるにあたっては、結婚・子育て資金専用の口座を開設して管理する必要があり、資金を口座から引き出したときは、領収書を金融機関に提出しなければなりません。

教育資金の贈与(一括贈与)

親や祖父母(直系尊属)から教育資金の贈与を受けた場合、1500万円までは非課税となります。(※受贈者の前年所得が1,000万円以下であること)教育資金は、学校の授業料や入学金、塾費用などが含まれます。このうち、塾など学校以外の費用については500万円までが非課税です。

この特例を受けるには、結婚・子育て資金の贈与と同じく、教育資金専用の口座を開設し、資金を引き出す際には金融機関に領収書を提出する必要があります。

障害者への贈与

障害者へ贈与する場合は、贈与を受ける人が特別障害者の場合は6000万円までとなり、それ以外の人は3000万円までが非課税です。この特例を受けるには、信託銀行などに資金を信託し、税務署へ手続きを行います。そして、資金は、贈与を受けた人が亡くなるまで信託銀行が管理し、定期的に生活費や医療費として交付します。

贈与税の計算方法・相続税との比較

ここでは、贈与税の計算方法や相続税との比較について具体的に解説します。

贈与税の税率

贈与税の税率は、課税対象となる金額によって異なります。具体的な税率は下表のとおりです。
【20歳以上で、直系尊属から贈与される場合】

課税対象となる金額 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1000万円以下 30% 90万円
1000万円超1500万円以下 40% 190万円
1500万円超3000万円以下 45% 265万円
3000万円超4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

【上記以外の場合】

課税対象となる金額 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1000万円以下 40% 125万円
1000万円超1500万円以下 45% 175万円
1500万円超3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

※参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与税の計算方法

贈与税の計算式は以下のとおりです。

(年間で贈与を受けた財産の額-110万円)×税率-控除額=贈与税額

例:直系尊属の祖父から25歳の孫が、年間で300万円の贈与を受けた場合

先述の【20歳以上で、直系尊属から贈与される場合】の表より、税率が15%、控除額10万円であることがわかるため、上記計算式に当てはめて計算します。

(300万円-110万円)×15%-10万円=18万5000円

この場合の贈与税額は18万5000円となります。

※参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

相続税の税率はどれくらい?

相続税の税率については以下の表で確認できます。

【相続税の税率】

課税対象となる金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
1000万円超〜3000万円以下 15% 50万円
3000万円超〜5000万円以下 20% 200万円
5000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

※参考:相続税の税率|国税庁

生前贈与で取得した不動産の活用方法は?

ここでは、生前贈与で取得した不動産の活用方法を2点紹介します。

不動産を貸して家賃収入を得る

1つ目は、第三者に部屋を貸し出して家賃収入を得る方法です。一度にまとまったお金を手にできるわけではありませんが、入居者を確保できれば、毎月安定した収入を得られます。万が一、病気やけがで働けなくなった場合でも、毎月家賃が振り込まれれば安心です。

また、毎月の家賃収入を、老後のための資金として貯めておくのも良いでしょう。実際に不動産を運用するときは管理も必要になりますが、管理会社に委託すれば手間もかかりません。

不動産を売却する

2つ目が、不動産を売却する方法です。不動産を売却する一番のメリットは資産を現金化できることです。資産を現金化して残りのローンを完済したり、新しく不動産の購入資金にあてたりと、資産をさまざまな用途に活用できます。

また、建物の維持費が必要なくなるため、その分の負担が軽減されます。不動産の売却を目的とする場合、家賃収入を確保しながら、地価が上昇してきたときに売却すると良いでしょう。

まとめ

生前贈与では、贈与税が発生しない多くの特例や控除があるため、積極的に活用することで税金の負担を軽減できます。また、生前贈与で不動産を取得する場合は、上手く運用していけるように、事前に知識を身につけておくことが大切です。

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