地方銀行のアパート融資貸出残高最大 アパート建築は相続税対策として本当に有効?

地方銀行のアパート融資貸出残高最大 アパート建築は相続税対策として本当に有効?

2017年6月6日の毎日新聞に「地方銀行のアパート融資」についての記事がありましたので、ご紹介致します。

日本銀行によると、個人が建築するアパートなどの賃貸住宅に対する地方銀行の融資残高が2017年3月末時点で前年比7.2%増の13.8兆円に膨らみ、2009年の統計開始以降、最大となりました。

地方経済の縮小や超低金利で企業向け融資の収益が低迷する中で、相続税対策として行う「アパート建築」などへの貸し出しを急増させており、過剰融資が貸家の「建築バブル」を助長するのではないかという懸念もでています。

日銀によると、全国の地銀105行の貸家業を営む個人への融資残高は2010年3月末の約8.8兆円から7年間で約5兆円増加し、14兆円近くまでのぼっております。
これに対し、大手銀行の同期間での融資残高は約2.4兆円減少の総額8.6兆円と地方銀行より少なくなっており、地方銀行の積極姿勢が際立っています。

この背景には、地方経済の衰退に歯止めがかからず、地銀が地元の優良企業への融資が難しくなっていることがあります。

企業向け融資は、金利の値引き競争の激化と日銀のマイナス金利導入によって、預金と貸出金利の差である利ざやが一段と縮小傾向にあり、株式上場している地銀82社の2017年3月期決算では全体の約8割が最終(当期)減益に陥る事態になっています。
このため、相対的に利回りの高い個人向け融資に注力しているのが実情で、貸家業向け融資の伸び率は、貸し出し全体(3.3%)を大きく上回っています。

2015年1月に相続税が増税されたことが大きな契機となり、所有する土地にアパートなどを建てて節税対策をする人が増えている状況の中、日銀の大規模金融緩和によるマイナス金利のおかげで、建築資金を低金利で資金調達しやすくなったことにより、更にアパート建築に拍車がかかっています。

理由は、所有している土地を更地のままにしておくより、借り入れをしてアパートやマンションなどを建築し、貸家にすることで土地評価額を下げられ、またローンがあることでマイナスの資産計上をできるため、納税額が減る「節税効果」を見込めるからです。

国土交通省によると、2016年度の貸家の建築着工戸数は前年度比11.4%増の42万7275戸と2年連続で増加し、2008年度以来の高水準となりました。

地方のアパート・マンション向けローンについては、メガバンク幹部からも「日本では今後ますます人口減少が続いていくのに、どんどん貸家を増やして良いのか?」との疑問の声があり、日銀金融機構局は「家賃収入の見通しを十分審査しないまま融資を増やしている地銀もある。リスク管理の徹底が必要だ」と警鐘を鳴らしています。

元来、アパート建築は相続税対策の王道とされてきましたが、「アパート経営」が本当に節税に有効かどうかは、個人の状況によっても違います。

ましてや、土地も所有していないサラリーマンが、低金利を利用して頭金もなしでフルローンを組み、土地から購入してアパートを建てるのは、どう見ても分が悪すぎます。

そして、都心は土地代も高く容積率も高いので、わざわざ2階建てのアパートを建てる人はいません。
アパートを建てるエリアは、必然と土地の安い郊外となり、そのエリアにこぞってアパートが乱立し、供給過多となり空室率40%というエリアも出ています。

一棟アパートのオーナーになるということは、やることや身に着けるべき知識が膨大であるため、相続した方も手間がかかってしまうという問題点があるのです。

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