重い相続税がのしかかるのは2次相続時

重い相続税がのしかかるのは2次相続時

■1次相続は配偶者控除があるので怖くない

一般的に相続で多くの税金が課税されるタイミングは、いわゆる2次相続といわれるタイミングです。

普通の家庭の場合、相続は2度起こります。
1回目のタイミングは、ご主人が亡くなり奥様がご健在の場合、2回目のタイミングは、もうすでに配偶者が亡くなり相続人が子どもだけの場合のケースです。

専門用語では、1回目の相続のタイミングを「1次相続」、2回目のタイミングを「2次相続」と言います。
1次相続の場合、配偶者控除が利用できますので、あまり大きな対策は必要ないかもしれません(配偶者控除を使った場合、相続開始から税額が出なくても税務署に申告しなければいけないので注意が必要です)。

しかし、2次相続の場合、基本的には相続人が子どもだけのため、配偶者控除が利用できません。今、世間で騒がれている相続税対策が必要なケースの多くは、この2次相続のケースがほとんどです。

1次相続と2次相続における大きな違いは、配偶者控除という制度を利用できるかどうかの違いになります。

配偶者控除とは、通常の夫婦は婚姻期間中に共同して財産形成をしており、亡くなった配偶者(被相続人)の財産も配偶者(相続人)の協力があったからこそ財産は築かれたと言えるために作られた制度です。
被相続人と相続人が夫婦の場合には、生活を共にしているので相続財産に対する配偶者(相続人)の生活保障という側面も考慮する必要があり、その他の相続人より配偶者の税制優遇は大きく認められています。

配偶者控除の具体的な内容は、

  1. 1億6,000万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額(相続財産の二分の一相当額)

のどちらか大きい金額までは、税金がかからないという制度です。

このように相続税において、配偶者は税制上かなり保護されていると言えます。
相続税改正により基礎控除額の減額があり、相続税を課税される人のすそ野が広がりました。

この配偶者控除は控除額が1億6,000万円と高額ということもあり、ほとんどの家庭において1次相続での相続を問題視する必要は少ないと言えます。

基礎控除額と併せれば、ある程度の相続財産でも相続税の納税を回避できるのではないでしょうか。
ただし、1次相続で配偶者に財産を集中させてしまうと2次相続時に相続税の負担が大きくなり、1次相続と2次相続を合わせるとトータルで損をしてしまうことがありますので注意が必要です。

■配偶者控除を使うと、2次相続時に相続税が割高になることも…

配偶者控除を使うと、2次相続で相続税が割高になってしまう場合もあります。
まずは、どのように違うかを確認していきたいと思います。

例えば、「1次相続時」夫(父)が亡くなり、遺産総額が1億6,000万円のケースについて考えてみましょう。

法定相続人は妻と子2人(基礎控除4,800万円)、「2次相続時」妻(母)が亡くなり1次相続で妻が相続した金額を、そのまま相続するものとします。
2次相続における法定相続人は、子2人(基礎控除4,200万円)というケースを考えてみましょう(比較のため母は相続したお金に手を付けない前提条件です)。

1次相続時に配偶者控除を「1億6,000万円分フルに使うケースA」と「8,000万円にした場合のケースB」の比較は、以下のようになります。

<ケースAの場合>

1次相続時に妻(母)が、1億6,000万円すべて相続する場合、相続税は0円。2次相続時に、母の遺産である1億6,000万円を子ども2人で相続するため、1人当たりの相続分は8,000万円。

これを計算すると、1億6,000万円-4,200万円(基礎控除)=1億1,800万円÷2(子の人数分)=5,900万円

5,900万円(法定相続人の取得金額)×30%(税率)-700 万円(控除額)=1,070 万円(子1人分の相続税)

1,070万円(子1人分の相続税)×2(子の人数)=2,140万円

<ケースBの場合>

1次相続時に妻(母)が、8,000万円、子どもがそれぞれ4,000万円ずつ相続する。
母の相続税は、配偶者控除があるので0円。

子は、1億6,000万円-4,800万円(基礎控除)=1億1,200万円÷4(子の1人当たりの相続割合分)=2,800万円(子1人分)

2,800万円(法定相続人の取得金額)×15%(税率)-50万円(控除額)=370万円(子1人分の相続税)

370万円(子1人分の相続税)×2(子の人数)= 740 万円…①

2次相続時に、母の遺産である8000 万円を子ども2人で相続するため、1人当たりの相続分は4,000万円。

これを計算すると、8,000万円-4,200万円(基礎控除)=3,800万円÷2(子の人数分)=1,900万円

1,900万円(法定相続人の取得金額)×15%(税率)-50万円(控除額)=235万円(子1人分の相続税)

235万円(子1人分の相続税)×2(子の人数)=470万円…②

①+②=1,210万円

ケースA からケースB を引くと…
「ケースA」2,140 万円-「ケースB」1,210万円=930万円の差が生まれます。

このように相続財産の総額が大きい場合には、配偶者控除をフル活用させ配偶者に財産を集中させることで2次相続時の相続税が割高になってしまうケースもあります。
配偶者控除をうまく活用しつつ、1次相続で子どもに少しでも相続税を負担させることで、トータルの相続税額を抑えることも可能です。

自分の家庭に置き換えて、「どのようにしたら有利なのか」をしっかりと検討することも必要になります。

相続財産の総額が多額になるほど、税率がアップするのが相続税です。
相続財産の総額が高額になればなるほど、多額の相続税の支払いが求められます。
ケースA の場合、2次相続時の取得額が高額になったため、30%の税率が加算されました。
一方、ケースB の場合、相続人が3人の時にうまく取得額を抑え、1次相続時・2次相続時ともに税率を15%に抑えることができました。
つまり、相続税対策を有利に進めるためには、各人が相続税の税率を低い税率の範囲内で取得額を抑えることが重要と言えます。
相続財産の総額を低く抑えれば税率を下げることができるため、結果として相続税の支払いを少なくすることができる戦略です。
その戦略の大きなポイントである相続財産の評価額を下げる対策として、不動産を活用する人が増えています。
相続税の負担が一番重いのは、1次相続の配偶者ではなく2次相続の子世代です。
相続を夫婦の問題として捉えるのではなく、子世代を含めてしっかりと対策することが求められています。

関連記事

最近の投稿

ページ上部へ戻る