子世代の納税資金を確保できることが大事

相続時精算課税制度を用いた相続税対策の説明を例を用いてご紹介いたします。下の図をご覧ください。B さんは、1億2000 万円以外にも資産があったため、1億2000 万円の現金でワンルームマンションを6戸購入し、1人息子のB 太郎さんに相続時精算課税制度を用いて6戸のワンルームマンションを生前贈与することにしました。


相続時精算課税制度は、2500 万円以下であれば贈与税がかかりません。従って、B 太郎さんは、このワンルームマンション6戸の贈与税を支払うことなく、贈与を受けることができるようになりました。これが、相続時精算課税制度とワンルームマンションを活用したメリットです。
もしB さんが、ワンルームマンションを所有し続ければ、家賃収入が入ってくるため相続資産は増えてしまいます。そのため、60歳の時に相続時精算課税制度を活用しB 太郎さんに贈与をしておけば、B さんが亡くなるまでの間、B 太郎さんは家賃収入を得ることができ納税資金の確保も可能です。


上の図のように、相続時に相続税が発生しそうな人の場合、あらかじめ相続時精算課税制度を活用し、生前贈与をしておけば納税資金の確保に困ることもありません。
しかし、相続時精算課税制度には、注意しなければならない点もあるのです。

上の図のように相続時精算課税制度では、この制度を使って贈与した贈与財産と相続財産が相続税の対象になります。つまり、生前贈与をうまく活用しても相続税が発生してしまうような場合に、子世代の納税資金を確保するという点において優れた一面を発揮するのが相続時精算課税制度です。

 

さらに上の図をご覧ください(比較のため、相続時精算課税制度を利用した時のワンルームマンション以外は、現金にしてあります)。例えば、相続資産が3億円ある家庭のケースの場合、もし何もやらなければ、3億円の相続資産に対して課税されます。一方で、相続時精算課税制度を活用しワンルームマンション6戸(2000 万円×6戸=1億2000 万円)を贈与した場合、ワンルームマンション6戸分の相続税評価額は2400 万円(1戸当たり400 万円の相続税評価額で計算)となり、相続時精算課税制度の2500 万円の枠内に収めることが可能です。
亡くなった時の相続資産は、残りの現金1億8000 万円と相続時精算課税制度で贈与したワンルームマンション6戸分の評価額である2400 万円が足され、相続税評価額は合計で2億400 万円になります。つまり、この制度を活用したことで、相続税のタイミングでの相続資産を9600 万円ほど、下げることができたことに加え、贈与してから相続税を納税するまでの間、家賃収入を確保したことによって子世代の納税資金が準備できました。
仮に、600 万円の家賃収入を30年間得ることができれば、1億8000 万円が家賃総額になります( 所得税等は考慮しておりません)。さらに、1億8000 万円の他にも、ワンルームマンション6戸の所有権もB 太郎さんは所有しています。親の財産を子世代に上手に受け継ぐといった目的を十分果たしながら、それ以上の結果を得ることに成功するでしょう。
このようにワンルームマンションは、小回りが利きやすい不動産のため、相続時精算課税制度の枠である2500 万円に収まりやすいというメリットがあります。これが第2章で説明したタワーマンションであれば、貸家で相続した場合1戸当たり1736・2万円の相続税評価額になるため、2500 万円以内に収めるには、1戸が限度で2戸以上は難しいでしょう。相続時精算課税制度をタワーマンションで実施した場合の問題点は、枠の有効活用ができないことです。
今回のケースでは、2500 万円の枠に対して評価額が1736・2万円であるため、空き枠は約800 万円になります。この空き枠の約800 万円では、もう1つタワーマンションを相続時精算課税制度の枠内で利用することができません。そのため、分割しやすいという点では、タワーマンションよりワンルームマンションの方が優れているのです。ワンルームマンションの分割しやすさを活かせば、活用の難しい相続時精算課税制度でも結果を出しやすくなるでしょう。
また、相続時精算課税制度を活用し、早めに親世代から子世代へと財産を引き継ぐことができれば、子世代が資産運用を行う時間も十分に捻出できます。その財産をもとに子世代がうまく資産運用できれば、子世代が豊かになり、孫世代にも資産を残すことができます。
早め早めの相続税対策が、子世代、孫世代へと資産運用の好循環をもたらすのです。そういったところも、この制度のメリットと言えるかもしれません。

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