資産管理会社を活用することの 4つのメリット

■税制が優遇される法人を活用した相続税対策

近年、資産管理会社を設立して、所得税や相続税の節税をする個人が増えています。

将来的に富裕層対策として、個人の所得税率が上がっていくことは既定路線です。一方、法人税は、国際競争の観点から基本税率は引き下げが検討されているため、個人で資産運用するよりも法人をうまく活用することで税負担を軽減しながら相続税対策を実行することが、賢明な選択になるだろうと考えられます。そのため、資産運用を個人で行うのではなく、個人の資産運用を行うことを目的とした法人を設立することが最近の流行です。このような会社を一般的に資産管理会社と呼び、所得税や相続税の節税のために会社を設立し、個人税率と法人税率の差を活かして運用効率を上げる資産家が増えています。ここでは、資産管理会社を活用して、相続税対策を実施するメリットを確認していきましょう。

一般的な資産管理会社を使った、相続税対策のスキームは上の図の通りです(※今回の例は、資産管理会社が物件を購入するケースです)。

①親世代に1億円を出資してもらう。

3億円分の収益物件を頭金1億円、2億円の借り入れで資産管理会社が購入する。

3年経過するのを待つ(生前贈与加算の回避)。

3億円の収益不動産が1戸当たりの売買価格2000 万円のワンルームマンションであれば、6000 万円(400 万円×15の場合)程度の評価まで減額される。

⑤ この会社の財産は、評価額6000 万円のワンルームマンションに対し、借り入れが2億円あるため債務超過の会社という判断をされ、株式の評価額はゼロになり株式を子世代に無税で贈与できる。

このように資産管理会社を使えば、親世代から子世代へと負担なく資産を承継できるようになります。仮に現金で1億円を贈与すれば約4800 万円の贈与税がかかり、相続人が1人の場合の相続税は1220 万円になりますので相続や贈与に比べ効果的な手法と言えるでしょう。

もし、抵当権のついていない物件を所有しているのであれば、資産管理会社に現物出資として収益物件を提供することも可能です。現物出資の場合、定款に記載の金額が相当であると弁護士、税理士等の証明(不動産はさらに不動産鑑定士の鑑定評価が必要)を受け、さらに個人から法人に所有権移転登記することが必要ですが、その資産があることによって、金融機関から借り入れがしやすくなることも覚えておいてください。こ

の場合は、法人設立にあたり専門家への報酬が別途必要ですので、事前に費用などを確認しておきましょう。

資産管理会社を承継した後は、資産管理会社を運営することによって得られる所得税と法人税の差を活用した税制面でのメリットを享受していきます。

資産管理会社のメリットは、

① 「生前贈与に使いやすい」…現金や不動産の譲渡ではなく資産管理会社の株式に出資することにより、より多くの金額を生前贈与することができます。

② 「経費を使える」…法人であれば、資産管理会社を運営する費用である経費は、家賃収入から引くことができます。また、法人生命保険を使えば半分は損金計上でき、退職金として効果的な資産運用が可能になります。

③ 「給与を支払うことができる」…家族を役員や従業員にすることで、給与を計上することができ、さらに家族ひとりひとりが、給与所得控除や基礎控除などを受けることができます。収入を会社に計上し、従業員として家族を雇用すれば所得を家族に分散できるというメリットが生まれます。

④ 「税率が個人と比べて低い」…個人の税率は、所得税で最高45%、そこに住民税の10%を加えると最高税率が55%になります。一方で法人の場合、法人税と事業税を合わせても、地域によって若干異なりますが、30%程度の税率で済みます。また、所得が400 万円以下の場合の税負担率は約22~26%になり、所得が400 ~800 万円の場合の税負担率は約23~28%と個人の税率との差をうまく活用すれば、法人に残る資産も増えるということです(平成28~平成30年以降の実効税率は年度で異なります)。

以上の点が挙げられます。

一方、注意点としては、

①「株式譲渡までのタイミングは、3年を超えることが必要だということ」

②「会社設立時の費用」

③「収入がなくても会社を維持する上での地方税の一部を支払う必要がある」

④「相続人が1人の場合は問題ないが、複数人いる場合はもめる可能性がある」

ということです。

特に③の売り上げがない場合でも支払わなければならない税金は、地域によって異なります。例えば、東京都に事務所があり、資本金1000 万円以下・従業員50人以下の場合では、法人税の均等割は7万円になります。そのため私が考える資産管理会社運用における最大の注意点は、「立ち上げた会社を続けるのか」「資産を売却して会社を清算するという選択肢をとるのか」によって運用の仕方が変わるということです。資産管理会社を設立した後も、20年、30年と運営していく気のある人にとっては、相続税対策のタイミングで資産管理会社を作るのは問題ないですが、相続税対策のためだけに資産管理会社を作るという人にはあまりお勧めできません。大手不動産会社でも、オフィスを賃貸してその家賃収入で経営している会社もあるため、真面目に資産管理会社として運営している会社に対して税務署から厳しい目で見られることもありませんが、相続税対策のためにテクニックとしてやっている場合には、税務署からの厳しいチェックが入ることも覚悟しておかなければなりません。今後は資産管理会社を作って相続税対策をするということに対して、税務署から厳しいメスも入りそうです。

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