◆アパート経営とワンルームマンション経営の比較◆~②資産価値の減少をカバーする「収益性」を確保しやすいのは?~

②資産価値の減少をカバーする「収益性」を確保しやすいのは?

アパートやマンションを利用した貸家建付地による相続税対策は、相続税評価額が下がりやすい効果的な手法です。しかし、マンションやアパートは、購入した時から経年劣化が進むため、資産価値は次第に減少していきます。そのため、資産価値の減少を収益性でカバーすることが重要だと言えるのです。ここでは、ワンルームマンションとアパートのどちらが長期間にわたり、収益性の確保ができるかを検証していきましょう。

先ほど述べたように、アパートの空室率は急上昇しており、1都3県では35%前後の空室率になっていました。一方で、ワンルームマンションの空室率ですが、私が代表を務める和不動産の年間平均空室率は、2%を切っています。アパートは35%の空室率、ワンルームマンションは2%を切る空室率、この差は一体何なのでしょうか。この答えは、需要と供給のバランスが引き起こす問題が大きく関係しています。

アパートの賃貸需要は減少傾向で、新規アパートの供給は過剰傾向です。一方で、ワンルームマンションは、入居需要が高く「ワンルームマンション規制」により供給が抑えられていることから収益性を確保でき、資産価値を維持する上では理想のバランスになっています(ワンルームマンション規制は後ほど説明します)。このことについて確認していきましょう。

アパートの供給が過剰傾向にあるのは、相続税が改正され、相続税対策のためにアパート経営を選択する人が増えたことにより、アパートの建築が増えたからです。

平成29年1月に国土交通省は、平成28年の新設住宅貸家着工戸数が、8年ぶりに40万戸を突破する見通しで、そのうち貸家が新設住宅に占める割合は4割を超えていると発表しました(上の図参照)。これも相続税の節税を目的としたアパート建設が全国的に広がっているためで、平成28年の1〜11月までの貸家着工数の地方圏の伸び率は、11・7%と3大都市圏を大きく上回っています。

28都道府県が2桁の上昇率を記録し、特に長野、鳥取、島根、富山、徳島、福島、青森の7県は、3割を超える伸び率を記録しました(上の図参照)。

一方で、アパートの収益を下支えする賃貸需要が増えているかというと、決して増えているわけではありません。ものづくりの機能が海外に移転した現代では、地方の工場も減少傾向です。それにより民間消費や民間設備投資も減少、当然人口も減っているので公的支出も減少、これら負のスパイラルにより企業業績も悪化し民間賃金も減少、倒産や失業が増え新規雇用も大幅に減るため、利便性や娯楽・仕事を求めて都心へ移住する若者が増えるという、さらなる負のスパイラルが起こっています。こういった状況では、人口が増えるわけもなく、急増するアパートの収益を支える入居者の総数は減少の一途をたどることも大いに予想できるでしょう。これが地方のアパート空室率が、増加している背景です。街が衰退しているなかで、収益性を確保することは困難以外のなにものでもありません。

平成29年1月25日には、【国内の賃貸住宅の新規着工戸数が急増し、世帯数の増減などを加味した潜在需要が平成28年を上回り、供給過剰となる可能性が高いことが、内閣府のリポートで分かった。利用者のニーズに合わない狭小住戸も多いと指摘しており、相続税の節税対策を背景にした賃貸住宅の「建設バブル」の発生に警鐘を鳴らしている。】という報道が新聞紙面でされました。

このような統計や報道でもわかるように、今後の不動産を活用した相続税対策において、成否を決定するのは入居者の確保です。地方でアパートを建築する大家が増えたため、入居者の確保が難しくなり入居実態が伴わないバブルのような状態になっていることも懸念されています。

一方で、入居者の確保という意味で都心のワンルームマンションは、単身者が増え続け入居需要が増加の一途をたどっています。これからの相続税対策は入居者の確保が成否を決定する上で重要なポイントとなり、どこで物件を所有するかという立地の重要性がますます高まっていると言えるでしょう。

上の図のように、日本全国で転出が増えているなかで、転入が増えているのは東京を中心とした1都3県と宮城・愛知・大阪・福岡といった、その地方を代表する都市に限定されています。なかでも、東京は群を抜いて転入が多いため、入居者を確保するという意味では、最上位に位置する立地です。

また、平成26年3月に東京都が発表した「都内世帯数の長期予測」によりますと、東京都の世帯数は平成47年代にピークを迎える見通しです(上の図)。東京都は、人口の頭打ちが平成32年と予測していますが、その後も世帯の細分化が進み単独世帯は増えると予想しています。配偶者との死別による一人暮らしと、結婚に踏み切らない若年層でも晩婚化が進み、都内の単独世帯は平成32年に全体の47・2%になり、東京都の総世帯数が減少に転じた後も区部では増加し続ける見通しで、平成47年に単独世帯の比率が50・2%と初めて半数を超えるという発表がされました。人口減の社会でも場所によっては人口が増え、特に23区は世帯数が増えるということで、都心のワンルームマンションのオーナーにとっては入居需要の拡大という大きな追い風が吹いています。さらに東京は、2020 年のオリンピック・パラリンピックに向けて再開発の真最中です。東京では、将来の利便性がさらに高まるため、地方から都心への人口の流れは今後ますます加速することが予想されます。統計上でもこの流れは証明されていて、転入超過数も平成12年以降は、東京23区に集中し都心とそれ以外の地域で格差が顕著になってきました(下の図参照)。

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