◆アパート経営とワンルームマンション経営の比較◆~③現金化のしやすさが最重要「物件の流動性」が高いのは?~

③現金化のしやすさが最重要「物件の流動性」が高いのは?

私が考えている相続の目的は、「親が持っている資産2億円の相続税評価額を下げ、時間をかけてでも子どもに2億円として残す」ことです。しかし、多くの人が相続税対策に失敗してしまう理由は、相続税評価額を下げるところまでしか考えていないからになります。本来、相続税対策の流れとしては、相続税評価額を下げ、その後、収益を確保しながら物件の売却を行い、相続税対策前の資産と同じもしくはそれ以上の金額を子どもに残すことです。

そのミッションをクリアするには、収益性の確保と同時に、物件の売却を成功させることが必要になります。これに失敗した場合、相続税対策前と同じ資産を子どもに残すことはできません。そのためには、子どもに残す物件の流動性の高さを確保する必要があります。しかし、不動産は、資産運用のなかでも流動性の低いことがデメリットです。

ただ、相続税対策に有利なのも、不動産であることは間違いありません。そのため、不動産のなかでも流動性の高い物件をセレクトすることは、相続税対策成功の大きなポイントと言えます。

流動性が高い不動産を選ぶポイントは、2つあります。それは、「①多くの人が買いやすく」「②多くの人が求めている物件」です。そのポイントについて、説明していきます。

最初のポイントである多くの人が買いやすいということに対して、説明していきたいと思います。相続税対策は、最終的に物件の売却や収益を確保することで、相続前と同じ資産額に復元していくことが大切です。物件を売却するということは、次に購入する人がいて初めて売却することが可能です。そのため、流通量が多い種類の物件を選択することが、売却しやすい物件選びの第一のステップになります。その点でいえば、平成28年の新築ワンルームマンションの供給が1万1168 戸なのに対し、平成28年の取引事例が年間8万戸超と新築市場に比べ約8倍の流通量を確保できている首都圏の中古ワンルームマンション市場は、売却しやすい不動産取引市場の1つと言えるでしょう。

取引量の多い市場というのは、流動性が高く現金化しやすいという特性があります。現在、首都圏の中古ワンルームマンション市場が盛り上がっている理由は、大きく2つです。1つは、今回の書籍のテーマである相続税対策が活発になっていること、もう1つは、国民的社会問題になりつつある老後破産を回避するために、多くのサラリーマンが中古のワンルームマンションから入る家賃収入で老後の対策をしているからになります。平成10年代初頭ではワンルームマンション経営といえば、大企業の課長職以上が行う資産運用として捉えられていましたが、近年では金融機関の融資条件が大幅に緩和され、普通のサラリーマンであればほとんどの人がローンを組んでワンルームマンション経営をすることが可能になりました。今の時代、何も対策をしなければ老後破産に陥る確率は大幅にアップするため、現役時代からワンルームマンションによる資産運用を行い老後破産に対応できる家賃収入を確保しようという動きが広がっています。2000 万円程度のワンルームマンションであればサラリーマンでも返済可能な金額なので、金融機関も融資を出しやすく融資事例も増え取引市場は活発化しているのが現状です。

しかし、ここで1つ疑問が生まれます。それは、なぜワンルームマンションには、金融機関が積極的に融資をしてくれるのかということです。ワンルームマンションに融資を出しやすい理由は、建物の構造が大きく起因しています。

建物の法定耐用年数は、

軽量鉄骨造19年(骨格材3m以下の場合)

木造22 年

鉄骨造34年(骨格材4m超の場合)

鉄筋コンクリート造47年

以上のようになっています。

木造の物件であれば法定耐用年数が22年であるため、20年経過した木造アパートに長期の融資を出すことはできません。もし、融資を受けるのであれば多額の頭金を要求されるので、一部のお金持ちしか参入できないマーケットと言えるでしょう。

しかし、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、築20年前後の場合には35年ローンを組むこともでき、頭金も少額(頭金0円と諸費用50万円前後からスタートできます)であるため、一般のサラリーマンでも始めやすい投資環境が整っているのです。仮に、もしワンルームマンションが古くなったとしても、1戸単位で売買できるため現金で購入する人も見つけやすいという特徴もあります。都心のワンルームマンションであれば、古くなっても1000 万円前後の価値は維持でき、1000 万円くらいの価格

であれば次に現金購入する人をすぐに見つけることも可能です。

つまり、多くの人が参入しやすいマーケットということは、流通量が活発になるため売却がしやすいということになります。また、融資を受けやすいというのも大きなポイントです。サラリーマンであればほとんどの人が融資を受けられるため、誰もが参入しやすいマーケットと言えます。アパートが一部の資産家や地主のマーケットということを考えれば、誰でも参入できるマーケットである中古ワンルームマンション市場の方が流通量は多くなるのは至極当然のことです。

2つ目の理由は、多くの人が求めている物件であるということです。元来、日本人が好む投資とは、元本保証のようなディフェンシブな投資になります。私が代表を務める和不動産が行った老後に関するアンケートでも、「収益は少ないが失敗しないことを第一にした不動産投資」の方が「リスクは高いが収益性を第一にした不動産投資」に比べ圧倒的な差をつけて好まれました(上の図参照)。

不動産投資において大きなリスクを3つ挙げるとすれば、「①空室」「②家賃の下落」「③購入後の修繕費用」になります。空室と家賃の下落は、立地に左右されることがほとんどです。先ほど説明したように空室率が急上昇している地方では、家賃を下げることで入居率を上げていく方法以外の選択肢はほぼありません。そうであれば、空室率が低い都心のワンルームマンションの方が、買主から好まれることは明白です。さらに、アパートなどの一棟物件は、共用部分から室内まで自分でメンテナンスすることがほとんどであることに対し、区分マンションの場合には共用部分は管理組合で共同管理しているため、突発的な費用負担も防ぐことができます。アパートなどの一棟物件と区分のワンルームマンションは、同じ不動産投資でも運用状況が大きく異なるのが特徴です。もちろん、購入後の追加費用がかからないことを前提にした場合、都心のワンルームマンションの方が確率は少ないと言えます。そのため、多くの人がワンルームマンションを購入するので、年間8万件の流通事例が生まれるのです。

流動性を上げるためには、多数決で多い方を選択していくことが重要です。融資を受けやすいマーケットかつリスクの少ない物件といったポイントが、流動性を上げるには大切な要素と言えます。そういった視点で、物件選びをすることも大切なのではないでしょうか。

流動性を高めるに当たって、もう1つ大切なことは収益性を維持することです。先ほど伝えたように収益性を得ることは、相続税対策では非常に大切なポイントですが、同様に物件を売却する際にも重要であることは間違いありません。なぜなら、物件を売却する際、どれだけ収益を取れているかが、売却価格を決める決定打になるからです。その点について、確認していきましょう。

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