相続税対策に適していない物件とそのリスクとは?

相続税対策に適していない物件とリスクとは?

■相続人が困る「木造物件」

木造物件の大きな問題は、耐用年数が短いことです。親世代では十分収益を回収できたのに、子世代においてトラブル物件に変わってしまう可能性もあります。なぜなら、年数が経てば当然メンテナンスも必要になりますし、建て替えが必要になる可能性も十分に考えられるからです。新しいうちは、入居者からのニーズを満たすことができ家賃収入を得ることもできるでしょうが、古くなってくれば家賃収入も下がりますし、入居者から選ばれるための工夫も必要になります。当然、親であれば資産は残してやりたいという気持ちはあると思いますが、運用しづらい物件を残すと同時にトラブルまで相続してしまう可能性もあるのです。相続した人が困らない物件の選択という意味で言えば、リフォームすれば入居需要が回復する、都心立地のRC 造(鉄筋コンクリート造)の物件を残してあげる方が、はるかに運用しやすくなります。相続した人が困らない物件選びこそが、子世代に対する思いやりと言えるでしょう。

■生前贈与には比較的不向きな「新築物件」

新築物件と中古物件の大きな差は、建物評価額の差です。時間をかけて相続を選択するのであれば新築でも構いませんが、購入後2~3年を目処に生前贈与のメリットを最大限に活かすことを考えるのであれば、建物評価額が下がっている中古物件を選択する方が好ましいと言えます。

相続時精算課税制度や暦年贈与(110 万円の基礎控除)を活用するのであれば、相続税評価額が低い方が好ましいのは言うまでもありません。相続税対策を相続一本やりで行うのであれば新築物件でも構いませんが、生前贈与を選択するのであれば固定資産税評価額が新築に比べ低い中古物件を選んだ方が、多くのメリットを受けることができます。

■ 安心が次世代の足枷に? 「サブリース契約

相続税対策で急増している貸家建築の安心材料になっているのが、サブリース契約です。

サブリース契約の仕組みは上の図のようになっていて、土地の所有者が建築したアパートをハウスメーカーやその関連会社が一括して借り上げ、30~35年の長期間にわたって家賃収入を保証するというものです。サブリース会社がオーナーと賃貸借契約を結んだ上で、今度は入居者との間で転貸借契約を結び転貸人として直接管理するという方法になります。このサブリース契約は、入居者の募集や設備管理などさまざまな手間がかかるアパート経営において、管理会社がすべて代行してくれるので、初心者の参入ハードルはかなり低くなり、これから相続税の対策として自分の土地にアパートを建て始めようと思っている人には利用しやすい制度と言えるでしょう。

サブリース契約について詳しく知りたい方は和不動産へ>>

しかし、このサブリース契約が、大きな問題を生んでいます。平成28年11月、テレビCM でもおなじみの大手ハウスメーカーに対し、同社とサブリース契約を結んでいるオーナー130 人が、家賃収入から天引きされた家具・家電のレンタル料約4億8500 万円の返済を求めて名古屋地裁で集団訴訟を起こしました。

他にも、サブリース契約は30~35年という長期契約ですが、2年ごとに家賃の見直しという契約内容になっていることが多く、2年ごとに家賃が引き下がることによって購入当初の計画通りにいかなくなり、多くのトラブルの原因になっています。この問題は深刻化しており、国民生活センターでサブリース被害の特集が組まれるレベルです。

サブリース契約は、入居者の有無にかかわらずオーナーに決められた家賃を送金する必要があるため、一般の賃貸管理契約に比べ手数料が高めに設定されています。そのため、オーナーが手にする賃料は、一般の賃貸管理契約に比べ少なくなるのです。サブリース運営会社も、ボランティアでやっているわけではありません。購入当初の家賃が35年取れるというはずもなく、その都度家賃を見直しするのは当たり前と言えます。ただ、購入する側のオーナーに知識がないことも多く、35 年一括借り上げという文言だけで安心できるというのは大きな錯覚と言えるでしょう。この問題のもう一つのポイントは、サブリース契約を解除するのに一苦労するということです。各社契約内容はさまざまですが、転貸借先の入居者とやりとりをしているわけですから、簡単に解除できない契約内容になっています。そのため、いざ売却となった時もサブリース契約を継続しなければならないケースもあり、売却が困難になり流動性が低下することも懸念しなければなりません。なので相続税対策には適していない物件になります。

逆に言うと、サブリース契約を結ばないと入居者の確保が難しい立地で不動産経営を行うのではなく、一般の賃貸管理契約でも安心して入居者が確保できる立地で不動産経営を始めから行うことが大事だということです。そうすることで適していない物件を選ばずに済みます。購入前にサブリース契約にするのか、一般の賃貸管理契約にするのかを、よく考えてから物件購入することをお勧めします。

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