「相続と生前贈与」のまとめ
「相続と生前贈与」のまとめを確認していきましょう。
■ 相続税対策で不動産が有利とされているのは、「①貸家にして相続税評価額を下げられること」「②借金をしてマイナスの財産を相続させやすいこと」の2点である。
■タワーマンション節税のメリットは、売買価格に対して20%ほどの相続税評価額まで評価を下げられること。
■ タワーマンション節税のデメリットは、「①固定資産税の見直しがされること」「②売買価格が高額なため分割しにくいこと」「③家賃が高額なため賃貸がつきづらいこと」が挙げられる。
■ 都心の築浅中古ワンルームマンションのメリットは、タワーマンションほどではないが、「相続税評価額を大幅に下げることができること」と「不動産のなかでも価格が安いため分割がしやすいこと」である。
■更地にアパートを建てる相続税対策は、大きく相続税評価額が下がるわけではない。
■ アパート経営で相続税対策を行う場合のスタンダードなやり方は、借り入れをすること。しかし、借り入れをすることにより相続をするタイミングでしか、相続人に資産を移すことができなくなるというデメリットを抱えてしまう。
■ 日本の人口ピラミッドは、団塊の世代と呼ばれている60~65歳の年代が一番人口が多く、その世代に対する増税はこれからも強化されることが予想される。
■ 相続は、「ある人の死をきっかけとして、その人が有していた財産や負債などが特定の親族へと移転すること」それに対し贈与は、「自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれを受諾することによって成り立つ契約」である。
■ 不動産を活用した生前贈与の方法としては、①暦年贈与(110 万円の基礎控除による非課税枠)②相続時精算課税制度(相続税・贈与税一体化措置)という2つの制度を効果的に活用することが重要。
■ 暦年贈与(110 万円の非課税枠)は繰り返し行うことができ、生前贈与の際には真っ先に考えるべき選択肢である。しかし、継続的に行っている場合には、最初からまとまった金額を贈与するつもりだったと税務署からみなされてしまうことがあるので注意が必要である。
■ 「生前贈与加算」の仕組みというルールがある。亡くなった年からさかのぼって3年以内に贈与されたもの、及び相続時精算課税制度により贈与された財産は、相続財産にプラスするというルールである。そのため、生前贈与は、早めに行う方が望ましい。
■ 相続時精算課税制度とは、2500 万円まで非課税で贈与できるものである。早期に多額の財産を贈与する場合や値上がりする可能性が高い財産、特に収益物件の贈与などには効果的な方法である。
■ 相続時精算課税制度のデメリットは、一度選択したら撤回できない究極の選択であること。
■ 親が若い場合に相続時精算課税制度を利用し長期間収益を得られるのであれば、子どもにとって相続を選択するよりはるかにメリットがある。
■ 効果的な相続税対策は、贈与をうまく活用すること。細かく贈与を繰り返し、相続税評価額を引き下げることができれば、相続税の納税を大幅に抑えることに繋がる。
■ 相続税対策では、すべてを借り入れで対応すると選択肢が狭まる。必要に応じて現金と借り入れを併用することで柔軟な対応ができる。