空き家問題と地方衰退 増す終活の重要性

201813日の日経新聞に、空き家問題と地方衰退に関する記事が掲載されていましたので、ご紹介いたします。

 

平成の初頭、竹下登内閣総理大臣は衰退する地方にテコ入れする振興策「ふるさと創生事業」を打ち出し、使い道自由の1億円が全国の自治体に配布されました。

その使い道として「純金カツオ像」(高知県中土佐町)や、「純金のこけし」(青森県黒石市)、喫茶店も飲み屋もないという秋田県仙南村(現美郷町)が作った村営キャバレー「フォーラムハウス遊遊」(経営難により閉鎖)などが話題を集めましたが、現在も地方からの人口流出に歯止めはかからず、衰退が続いています。

高齢社会はより一層深まりを見せ、人口は減少の一途をたどっています。明治大学飯田准教授(経済政策)は、「国全体が縮む時、地方に人口が戻る未来は一部の例外を除いて望めない。現実を直視し、過疎集落からの『撤退』も含めた苦しい選択を本気で考えるときが来ている」と話しました。

地方から大都市圏への人口移動は、景気動向と密接に関連していると言われています。

日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は、人口移動を

1期…196073

2期…198090

3期・・・2000年以降

と、3つの時期に分類・分析しています。

その分析によると、1期は高度成長、2期はバブル経済が人口移動の要因でしたが、平成の過半が重なる第3期は「地方経済の悪化が背景にある」としています。

地方から大都市圏への人口移動で深刻になったのが、空き家問題です。総務省の住宅・土地統計調査によると、1988年に394万戸だった空き家は2003年に659万戸、2013年に820万戸と、25年間で倍増しました。国土交通省の2014年の実態調査では、空き家取得の経験は相続が52.3%と最多で、空き家にしておく理由としては「解体費用をかけたくない」が39.9%を占めるなど、有効活用とは結びつかないものが多いのです。

実際の例をご紹介しましょう。

大学進学で上京し、就職したAさん(76)。転勤を繰り返した後、40代の頃に千葉県船橋市に一戸建てを建てました。愛郷心は強く、先祖代々の墓はそのまま守っていくつもりですが、3人の娘は関東在住で帰郷は考えられない状況です。

Aさんの母親は1996年に亡くなり、香川県三豊市にあるAさんの実家、約300坪の敷地に母屋、納屋など4棟を擁する実家は空き家となりました。

「もし体が2つあったなら、故郷にも住みたいけれど……」。香川県にある実家の庭木の剪定(せんてい)費用約7万3000円の請求書を見つめ、Aさんはつぶやきました。

2017年夏、母の二十三回忌も終え親戚付き合いが一段落したことで、年賀状を50通減らしました。Aさんの母親は「長男の私がいずれ故郷に戻ると信じていた」。

進学や就職を機に都市部へ出てその地に家族と居を構え、退職後も郷里に帰らないというライフスタイルは、現代の標準形になりました。その一方で、残された地方は空き家の増加、耕作放棄地の増加など、衰退が加速しています。

 

妻も自分も故郷を離れて暮らしてきた神戸市出身の男性Bさん(59)の場合、ふるさとをめぐる悩みはさらに複雑です。妻が相続した実家は住む人がいない空き家です。

20年前、千葉市に建てた自宅も転職に伴って空き家となっているため、男性の両親にもしものことがあれば3軒目の空き家を抱えることになってしまいます。

男性は空き家2軒分の公共料金を払い続けており、「住む可能性はほとんどないが、家財整理と解体を考えると手放す踏ん切りもつかない。どうしたものか」と頭を抱えます。

 

一般社団法人「空き家管理士協会」の山下裕二代表理事は、約50戸の空き家を担当しており、「土地や建物を活用できるはずなのに、売却や解体を先送りしている空き家が多い」という現状を語りました。

深刻さを増す空き家問題。空き家とは言え、家族の思い出が残る家を処分するというのは、残された子世代には金銭面も含め大きな問題となってしまうことがうかがえます。

終活の一環として、自身の死後の自宅問題を考えておく必要がありそうです。

 

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