- Home
- 相手を思いやる相続, 相続を争族にしない方法, 相続不動産ニュース
- 遺留分侵害額請求権ができ、権利が明確に。
遺留分侵害額請求権ができ、権利が明確に。
不動産を相続すると、分割できないといままで裁判の長期化
相続で遺言が残されていた場合、その内容のとおりに遺産を分けるのが相続法の基本となります。
遺留分とは、「配偶者や子など法定相続人にあたる人に対しては遺産をもらえる最低限の割合を保障している」ことをいいます。
ところが実際に遺言書を開封してみたら偏った遺産配分が書かれていたという例は珍しくはありません。
例えば、一棟丸ごとの不動産の場合は、分割して渡すことも難しい場合もあり、ある相続人だけは預貯金などの金額のみの相続になり、極端に少ないことがあります。
「遺留分」より相続財産が少なくなる事を「遺留分の」権利を侵害されたといいます。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
総額4,000万円を配偶者と2人の子ども計3人の法定相続人で分けるケース。
妻 2500万円(不動産) →相続法上の遺留分の金額 (4分の1) 1000万円
長男 1250万円 (預金) →相続法上の遺留分の金額 (8分の1) 500万円
次男 250万円 (預金) →相続法上の遺留分の金額 (8分の1) 500万円
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
上記のケースをご覧下さい。
遺言状で指示されている財産額と遺留分の金額との間に乖離がある事が分かります。
次男の相続財産が遺留分に足りていません。
遺留分は財産全体の8分の1、500万円だが、遺言には預金250万円と書かれていた訳です。
従来の制度だと、次男が不足分の受け取りを配偶者・兄に請求すると財産が相続人による【共有状態】となりました。
つまり、不動産も預金も共有となりすぐには分けられなくなっていました。
【共有状態】になった場合には、財産は改めて分けるのに「共有物分割訴訟」という裁判が必要になるかもしれません。
こうして遺留分を巡る争いは解決に数年かかることが珍しくなく、「争族」になっていました。
改正法の施行後は遺留分に満たない分は現金で請求することができるようになります。
これを「遺留分侵害額請求権」といいます。
裁判所は今も調停などの場で遺留分の現金返還を提案することはありますが、改正法で権利が明確となり、解決までの時間が短縮するとみられています。
さらに、遺産が不動産しかなくて現金をすぐに用意できない場合を想定し、裁判所の判断で支払期限を延ばせる仕組みもできています。
遺留分侵害額請求権の注意点
相続財産に不動産がある場合は注意が必要です。
というのも不動産の評価は一定ではなく、その評価額によって遺留分侵害額請求権の金額も変わってくるためです。
例えば1棟アパートが相続財産としてあった場合アパートの評価によっては遺留分が高額になる事もあります。
そして、不動産が相続財産の場合は簡単に現金に出来ない場合もあるでしょう。
そうなると、相続人達にとっては思わぬ出費となりかねません。
遺言は相続で争わない為の有効な方法ではありますが、遺留分の事も考えておかないと思わぬことに足をすくわれるか知れません。