【法制審試案】遺産分割から住居除き、遺産分割前の仮払いも可能に
7月19日の朝日新聞に、相続制度の見直しについて検討している「法制審議会」の相続部会でまとめられた、民法改正試案についてのニュースがございましたので、紹介致します。
法相の諮問機関「法制審議会」の相続部会は18日、故人の預貯金について遺産分割前の仮払い制度の取り決め等を盛り込んだ民法の改正試案をまとめました。
結婚して20年以上経つ夫婦の場合、故人の配偶者が自宅に暮らし続けられる等、相続で優遇されることも含まれています。
相続制度の見直しを検討している法制審議会では、年内にも要綱案を取りまとめて2018年2月に法相に答申する予定で、法務省は来年の通常国会への改正案提出を目指しています。
試案では、遺産分割が終わる前であっても、故人の預貯金を生活費や葬儀費用の支払いのために引き出しやすくする「仮払い制度」の創設を盛り込みました。
2016年12月の最高裁決定を受けて預貯金が遺産分割の対象になり、「遺産分割が終わるまで、預金が引き出しにくい」という問題を解消すべく今回の措置が決定されました。
今回の決定により一定限度の金額であれば、家庭裁判所の判断を待たずに預貯金が引き出せるようになります。
また、結婚して20年以上の夫婦であれば、遺産相続で配偶者を優遇するという試案も決定されました。
生前贈与の場合や遺言で居住用の建物と土地の贈与を受けた場合が対象で、相続人らで遺産分割する時にこの建物と土地は全体の遺産に含めません。
建物と土地を含めた遺産の「2分の1」を得られる現在の法定相続分よりも配偶者の取り分が多くなる仕組みで、残された配偶者が生活する場を確保する狙いです。