相続税と贈与税、現行制度と今後の税制について

令和3年度 相続税改正大綱に「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の暦年課税制度とと相続時清算課税制度のあり方を見直す」という一文があり、贈与税が無くなるのではないか?と衝撃が走りました。

相続税と贈与税2つの統合の話が実は戦後日本でも検討されていたと言ったら皆さん如何でしょうか。

今後相続と税金はどのようになっていくのか気になる人も多くなっていく事でしょう。
今回は相続税に関して解説していきたいと思います。

相続税とは?

そもそも相続税とは何なのでしょうか?
漫然と法として定められているので、それが一体なんなのか改めて考えてみると答えは難しいものです。
相続税の意義は大きく下記二つになります。

1 富の再配分を目的としたもの

2 所得税の補完という側面

富の再配分というのは資産が集中する事を防ぎ公平に分配される事を目的とされています。
資産が集中する事は公平ではないという事のようですが、公平であるとはどういう事なのでしょうか。
集中する事を防ぎとありますから、集中している状態は奨励されていない事となるようです。
資産が集中する事は資本主義経済の中では至極自然な事の筈ですが、このように堂々と書かれると「資産が集中する事は公平ではないのか」と錯覚を覚えてしまうから不思議なものです。
集中された資産は再配分という名目で徴収される訳ですが、どのように配分されるかと言えばそれは政府財源になるという分配の方法になるようです。

もう一つの所得税の補完という側面は一見すると意味が分からないのですが、被相続人は財産があった時に払うべき所得税を免れている事でしょうからこの際清算しておきましょうという、言掛かりのような理由で徴収されます。
さらに相続人も本人の努力によらない偶発的な所得なのですから所得税が課税されて然りでしょうという被相続人、相続人2つの意味での所得税の清算のようです。

いずれも納得出来るようなものではないように感じますが、それは歴史を追っかけて行くと理解出来る部分がありました。

相続を学ぶ

相続税導入の経緯と税率の変化

相続税の創設は明治38年まで遡ります。日露戦争の戦費調達の為、非常時特別税法として臨時で増税が行われたのですが、この際相続税も設けられました。
臨時増税は所得税や酒税など各税金が増税されたのですが、戦時のみの時限立法であり、終戦後廃止される訳ですが、相続税に関しては恒久的に残す事となったのです。
なんだか、ずるいと感じてしまいますが、当時の国際事情を鑑みてもヨーロッパ各国では相続税が古くから恒久的に採用されていた事から日本もこれに習ったのではないかとも考えられます。

つまり戦時に緊急で出来た税金なのですが、戦後もそのまま続けようとなった訳です。

この頃の相続税の意義は「偶然所得課税説」と言うものがあり、相続により発生した所得に応じて所得税を課すべきであるというのが根拠となっています。

相続を受ける側からすれば突然に身に沸いた所得な訳ですから、所得税を払いなさいという訳ですね。
この頃はまだ富の再配分という意義は相続税は持ち合わせていなかったのです。

創設後50年間相続税は小さな改正を行いながら継続されました。

流れが大きく変わるのが太平洋戦争後GHQ統治時代の事です。
GHQ統治下での占領政策の一環として相続税改正が行われます。
昭和21年「日本の相続税及び贈与税に関する原則と勧告」所謂「シャベル勧告」「シャウプ勧告」というものにより税率や相続人への優遇措置への見直し等が事実上指示されました。
GHQは財閥解体を目的として巨大な富が日本国内に造成される要因を排除する必要があり、相続や、贈与で財産が集中する事の無いようにする必要があったのです。

相続税の課税を免れて生前贈与する事例が多かった事もあり、昭和22年贈与税が創設されます。
贈与税は相続税ではカバー出来ない不平等を補完する目的で作られました。

その後幾度も改正を経て現在の相続税の形になってきたのです。

この歴史から分かるように相続税とは発端が臨時法として始まり、大戦後、GHQにより是正勧告を受けて今の形になったという歪な経緯を持っている事が見てとれます。
冒頭の相続税の意義が今日的に違和感があるのはその為であり、歴史を知れば少しは理解出来るというのはこういう事なのです。

その上でもう一度改正大綱を見直すと贈与税が無くなり相続税と一体化するという流れは本来通り自然な事である事が分かります。
もともと贈与税が相続税を補完するために生まれたのですから、贈与による相続税回避が出来ないように相続税側の調整が整えば一本化していく事の方が本来の形と言えるのかも知れません。

和不動産相続税対策セミナーの画像

相続税は撤廃されるのか?

元来の存在意義から考えれば主権を取り戻した以上、相続税の撤廃が議論されても不思議ではありませんが、今のところその動きは無さそうです。
カナダやニュージーランド、オーストラリアでは相続税は撤廃されていますから、相続税が撤廃される事自体は不思議な議論ではありません。

皆さんは相続税の税収が巨大なので政府は相続税に頼っているとお考えなのかも知れません。
相続税の国税に対する割合は3%に過ぎず消費税の44%と比べるとその差は歴然なのです。

今日財閥解体という目的は形骸化していますし、世界的にコングロマリッドが企業の形として当然になっていく中で旧財閥的な企業体系も極めて自然な流れとなってきています。
相続税も今日の経済や暮らしに合わせた変化が求められているように思います。

そんな中で私達はどうしていけばよいのでしょうか。

今後相続税の大まかな流れが統合の路線にある事は否めないと思われますが、直ちに起こる事ではなく、現況のまましばらく推移していく事と思われます。

しばらくは暦年贈与と相続時精算課税制度を利用して相続税対策を考えていく事が今出来る事と言えます。

暦年贈与

暦年贈与とは贈与税の基礎控除額である110万円以内の贈与を行う事で贈与税の負担無く贈与を行う方法です。
毎年コツコツと贈与を行う事で相続税対策になるため最もポピュラーな方法となります。
例えば110万円を10年間にわたって贈与を続ければ1000万円を課税される事無く継承させる事が出来る訳です。
注意点は定期贈与とみなされると贈与税が課税されてしまう点と贈与者が死亡した時点より3年前までの贈与は相続税の課税対象となる点です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは贈与時の税金を相続時に清算する制度の事です。

例えば1000万円の贈与を相続時精算課税制度で贈与を行うと贈与時の税金は払わなくて良くなります。

相続時精算課税制度の控除額は2500万円になりますので2500万円までは贈与税がかかりません。

相続時とは贈与者が死亡し、相続が発生した際の事です。

すでに贈与を受けた金額も相続財産として数える事になり、相続税が課税される事になります。

注意点としては相続時精算課税制度を利用すると暦年贈与を利用する事は出来なくなる事です。

相続時精算課税制度自体は納税する税金を減らすような仕組みではありません。

 

 

税金を納税するタイミングを先送りにする事が出来る制度なのです。

では、相続時精算課税制度はどんな時に活用できるのでしょうか。

それは収益物件を贈与する際に活用出来ます。

例えばワンルームマンションを相続時精算課税制度を使って贈与した場合を考えてみて下さい。

2000万円の物件を購入したとしてそれを贈与したとなると相続税評価額としては400万円程度となり贈与額は400万円程度に圧縮出来ます。

相続時精算課税制度を利用して5件のワンルームマンションを贈与するとしてみましょう。

相続税評価額は2000万円程となり相続時精算課税制度の控除額2500万円以内となりますからやはり贈与税は掛かりません。

売買価格1億円の物件を非課税で継承する事が出来ています。

この事自体は相続時でも評価額は同じですから相続税が課税されない事自体は変化が無いのですが、5件1億円分のワンルームマンションを予め贈与しておくのと相続時に継承するのとでは贈与者が死ぬまでに受け取る利益に差が出るのです。

ワンルームマンションの家賃収入が経費を抜いて仮に7万円だとすると5件で35万円 年間で420万円もの収入になります。

70歳時点で相続時精算課税制度を使い贈与を行ったと仮定して90歳で死亡したとしましょう。

20年間で8000万円も利益が出てしまいますから相続時には相続税評価額2000万円のワンルームマンションの他に8000万円の現金が出来てしまいます。

それに対して70歳時点で贈与を行っていると8000万円の収入はもう受贈者(相続人)のものとなっていますので相続税は勿論課税されません。

このように贈与後の利益は受贈者に帰属する点を活用する事で未来に生まれる利益まで考慮すると相続時精算課税制度を利用して事前に贈与しておく事にもメリットがある事が分かります。

 

下記のリンクにて詳しく解説しておりますのでご興味のある方は是非ともご覧下さい。

相続税対策の具体的な手法に関しては下記のページを是非ともご覧下さい。

 

▼中古ワンルームマンションで生前贈与を!相続税対策は不動産を活用した早期対策をおすすめします!▼
https://nagomi-fudousan.com/fudousantoushi/detail/seizen/

関連記事

相続税対策特集企画バナー

オンライン面談バナー

相続税対策本

和不動産公式サイトバナー

会社情報・アクセス

マンション経営お役立ちサイト

投資コンサルシステムN-RICOSお役立ちサイト

老後破産対策お役立ちサイト

和不動産 人事ブログバナー
engage

マイベストジョブ

ページ上部へ戻る